以前PROチャットで「顧客に憑依することが売れるコツ」という趣旨のコメントをしましたね。
USJの業績をV字回復させたことでも有名なマーケティングのレジェンド、株式会社刀の森岡毅さんの逸話で、僕が大好きな話があります。
以下『USJを劇的に変えた、たった1つの考え方 成功を引き寄せるマーケティング入門』からの引用です。
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具体的に私がやったことは何か?
徹底的に消費者を理解するために自分の相当な時間を注ぎ込むことにしたのです。
ヘアケア時代は髪の毛を金髪にしたり赤いモヒカンにしてみたり。
USJに来てからは、モンスターハンターを999時間プレイしたり、ドラゴンクエストⅩを5000時間プレイしたり、とにかく何でも自分でやってみて消費者視点を理解することを優先しています。
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個人の情報発信ビジネスの場合、特に最初は「過去の自分自身がペルソナ」になることは多いと思います。
僕が今まで(特に情報発信を始めて初期の頃)にやってきたことも本当にシンプルで、「過去の自分に刺さるようなビジネス」を設計することでした。
自分に刺さるようなメルマガを書き、クロージングの時には自分だったらどういうセールスをされたらスムーズに購買意欲が高まり、自然と財布からクレジットカードを取り出し、カード情報を入力するかを考えました。
みんながやっていることでも、自分がターゲットだと仮定して「これをされたら萎えるな」ということはできるだけやらないようにしました。
広告のクリエイティブや、メルマガで使う語彙などに関しても、とにかく自分の心が動かされそうかどうかで判断してきました。
個人の情報発信ビジネスで食べていくのに困らないくらいの収益を得るくらいであれば、とにかく「見込み客に憑依する」ことさえできれば、間違いなくクリアできるようになります。
こういう話をすると「どうやって見込み客の気持ちを知ることができますか?」と質問される方もいらっしゃいます。確かにそれは重要な疑問です。
ただ1つ言えるのは「見込み客に憑依する」ための、たった1つの裏技、効率の良いテクニック、魔法のノウハウのようなものは存在しません。
過去の自分の気持ちを徹底的に思い出す。
過去の自分と同じような人をリサーチする。
ただ質問するだけでは本当の感情を引き出すことはできないので、飲みにいって雑談をしてみたり、本音で呟いてそうなSNSの投稿を見てみるのもいいでしょう。
あとは自分の見込み客がよく見ていそうなコンテンツに触れてみる。
森岡さんのモンハンの事例などまさにですね。
また自分と同じようなターゲットをターゲットにしている事業者のメルマガやLINE、著書なんかを見てみるのもいいですよね。
ビジネス初心者をターゲットにしているのなら、売れている自己啓発本を見るのもいいと思います。
自分が特に興味がなかったとしても、意識高いけど何も行動できてなさそうな若い層を狙うなら『魔法のコンパス』とか『人生の勝算』に触れた方がいいですし、逆に会社でマーケをやっててキャリアに悩んでる人を狙うなら、その辺りの本ではなくて、それこそ森岡さんのUSJの本とかは参考になるかもですよね。
主婦の場合は、ちょっとパッと出てきませんが、もしかしたら時間のとられる本ではないかもしれません。
その辺りからリサーチしていかれるのも良いでしょう。
映画とか漫画に触れていて、偶然自分のターゲットと近い人とかが出てきたら、マーケットリサーチの大チャンスですね。
その点、僕の場合は『花束みたいな恋をした』とかはドンピシャでしたし、改めてターゲットの解像度が上がったような感覚を受けました。
…というわけで、見込み客を理解するというのは、「今から3時間で頑張ってやるぞ!」といったものではなく、普段の日常の中でずーっと常に考えるようなものです。
ここを省略しようとしたり楽をしようとしてもうまくいきません。
ただ、ビジネスをやっていく以上、ターゲットありきであることは間違いないですし、自分の顧客はどんな人なのかを高い解像度で特定することができたら勝ちが確定するといっても過言ではないので、ぜひ地道に愚直にコツコツと頑張っていきましょう。
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『花束みたいな恋をした』とか『ずっと独身でいるつもり』とか、あらゆるフィクション作品で『人生の勝算』が軽くイジられているシーンがあって(もしかしたら『メモの魔力』だったかも)、そういうところからも「あ、この本って、こういう人がこういう時に読む本なのね」といった気づきも得られます。
なかなかビジネスの仕組みを作り上げている最中はアウトプット過多になってしまうのもやむなしですが、時間をちゃんと作って「自分のターゲットを理解する」ための余白はちゃんと日常の中で用意してあげるといいですね。